『駐韓米国大使襲撃事件は演出か未必の故意か?』
- リッパート駐韓米国大使
- 朴大統領
- 安重根=アン・ジュングン=
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20150312/frn1503121140001-n1.htm
朴政権が「大使テロ」を悪用 “被害者”装い同盟強調…米は冷ややか
2015.03.12
記者会見するリッパート駐韓米国大使。傷跡を隠す、絆創膏が痛々しい=10日、ソウル市内の病院(共同)【拡大】
暴漢に襲撃されたマーク・リッパート駐韓米国大使(42)が10日、ソウル市内の病院を退院した。大使は記者会見で「雨降って地固まる。私の韓国への愛情はより深くなった」と外交上の社交辞令を語ったが、朴槿恵(パク・クネ)大統領率いる隣国の対応は、どうも理解不能だ。米国情報当局などが「事件の闇」に疑念を深めるなか、まるで自国も被害者のように振る舞い、政権浮揚などに“悪用”しようとしているという。ジャーナリストの室谷克実氏が迫った。
韓国の政権・与党は、リッパート大使へのテロ事件を「奇貨」として、従北・反体制派を徹底的に取り締まる方針を固めたようだ。もちろん、取り締まられる側の反発は必至だが、それにより社会が騒然となることが、政権サイドのもう1つの狙いかもしれない。
「社会を騒然とさせている分子」を“従北派と繋がった集団”としてたたくのだ。そもそもの原因は「従北派による米国大使へのテロ」なのだから、米国も「人権が…」とは言いづらい。
さらに、「この事件で米韓同盟がいっそう強固になった」とする“官製認識”を広める。それにより政権は「対中行動の許容範囲拡大」について、米国から暗黙の承認を得られる-。韓国の政権・与党はこうした思惑のようだ。
保守系新聞は早々と「大韓民国に対するテロだ」(中央日報、3月6日社説)と打ち出した。善良なる国民は、自分たちが包丁で顔を切られたわけではないが、「テロの被害者」の立場になったのだ。この認識に異議を唱える人間は“従北派”ということでもある。
最大発行部数の朝鮮日報は「北朝鮮=悪」を大前提に、テロリストと北との関係を探るのに余念がない。
朝鮮戦争でソウルが陥落した際、朝鮮日報は「金日成(キム・イルソン)将軍万歳」という見出し記事を掲載していたことが、ちょうど掘り起こされたばかり。「北朝鮮=悪」で突っ走らねばならないのかもしれない。
最大野党である新政治民主連合の執行部も「自分たちは従北派とは関係ない」と、あたふたと線引き作業を始めた。
政権・与党にとって、これほどの反転攻勢の好機はない。デフレ突入、若年層の高失業率、米国や日本から突き付けられた「冷たいサイン」への対応…。一切合切の懸案を、とりあえず棚上げにできる。
その間に、朴大統領は“被害国民”を代表して、「テロとの闘い」(北朝鮮にからかわれているが、韓国の論理では、安重根=アン・ジュングン=らの行為は『テロ』ではなく『義挙』となる)の先頭に立つことで、支持率をいくらか回復できるだろう。朴政権にとって、駐韓米国大使へのテロ事件は、まさに「奇貨」なのだ。
リッパート大使や、その親族が「韓国を恨まない」と外交辞令を述べ、米政府が「同盟は揺るがない」と原則論を確認するや、中央日報(3月7日)は「『リッパート効果』テロに勝つ」との見出しを立てた。ついつい浮かれたのだろうが「リッパート効果」とは、なんとまた実際の被害者への配慮のない言葉だろうか。
しかし、韓国の政権が「ピンチをチャンスに変えた」とほくそ笑もうとも、日米中枢は冷ややかな対韓“本音”を蓄積させるばかりだろう。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。主な著書に「韓国人の経済学」(ダイヤモンド社)、「悪韓論」(新潮新書)、「呆韓論」(産経新聞出版)、「ディス・イズ・コリア」(同)などがある。
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大変な前科者を自由にさせていたのは韓国政府の意思と取れる。このような事態も想定のうちに入れていただろう。ある程度予想していたことだから反省も謝罪も本物かどうか分からない。茶番だ。
アメリカはこういうことを平気でやり始めた韓国政府に不信感を持つのは当然。しかし、強く出れば中国に取り込まれる懸念もある。だから表向きは今後の信頼回復への取り組みを表明している。
被害者意識ばかりが目立つ幼い隣国の政治感覚。問題を起こし国を貧しくしていくと思うと残念だ。
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